執筆日時:2020年9月30日 13時15分

 

※2020年10月2日(金)21時30分発表の結果はこちら

 

1.はじめに

2020年10月2日(金)、日本時間21時30分にアメリカの9月雇用統計が発表されます。為替市場では円独歩高の様相も垣間見られ落ち着かない日々を送っている投資家がいる一方、この機に安値で仕込みたいと虎視眈々と買場を模索する投資家も多いかと思います。雇用統計の結果がどちらに味方するのか気になるところです。また、今回の雇用統計が終われば11月3日の大統領選挙へ市場の視線が完全に移ります。雇用データの強弱に一喜一憂するだけではなく、大統領選挙を見据えた相場展開も検討課題となる10月は、起伏がそれなりにきつく取引チャンスは多いと考えられます。慎重に判断しながらも、チャンスは確実に利益につなげたいですね。

 

 

【上田ハーローFXセミナーのお知らせ】

 

 

米大統領選挙前のWEBセミナー。どちらの陣営が米経済にとって良いのか、そしてどう為替に反映されていくのか。上田ハーローのストラテジストがお届けします。お申込みはこちら

 

 

 

2.前回のおさらい

8月の雇用統計では、失業率は4月の14.7%をピークに4カ月連続で改善。50年ぶりの低水準だった2月(3.5%)と比較すれば高水準ですが、経済活動再開の波が徐々に広がっている様子を示しています。非農業部門雇用者数(NFP)も、市場予想の135.00万人を上回り137.1万人増と、4カ月連続の増加でした。また、JOLTS求人者数も661.8万人と2月以来で最大を記録し、雇用改善の基礎固めは進んでいるようです。

 

 

さて各市場の反応ですが、ドル円は失業率や時間給賃金の改善から106.50円前後まで下値を切り上げました。しかし、追加経済対策を巡るクドロー米NEC委員長の「協議がまとまらなくとも構わない」との発言が株価急落を誘うと、106.20円付近へ反落して当日の取引を終了。その後、9月中旬から月末にかけては、米国の超低金利の長期化観測や、欧州でのコロナ感染再拡大への脅威から市場心理が悪化して104.00円付近まで下落幅を広げました。データ発表当日の株価は前日に続いて主力ハイテク株に利益確定売りが強まる格好に。朝方に247ドル高まで上昇していたダウ平均は、一時628ドル安まで下落。終盤に押し目買いも入り159.42ドル安まで戻したものの、28133.31ドルで取引を終了しました。米長期金利は0.72%まで上昇して終了。しかし、月後半に投資家の安全志向が強まり0.65%程度まで低下しています。

 

 

 

 図表1.前回発表前後のドル円の動き

 

出所:Bloomberg、上田ハーローFX「経済指標カレンダー

 

 

 

 

3.今回の見どころ

復興への手掛かりが一段と強まった点は素直に喜ぶべきでしょう。7-9月期の国内総生産(GDP)は、前期の-31.7%(四半期年率)から大きくリバウンドする期待が持てます。しかし、細かい点を調べると浮かれてばかりはいられません。製造業の雇用者増加数は5月の67.6万人から4.3万人へ激減。サービス業も6月の424.4万人を頭に98.4万人まで勢いが後退しています(図表2)。前回の好結果は国勢調査による調査員採用が理由の一つとあって、レイオフ(一時解雇)による反動が一巡するなかで見通しへの不透明感はかえって高まった感じです。

 

 

 

図表2.分野別、新規雇用者数推移(単位:千人)

 

5月 6月 7月 8月
製造業 676 485 61 43
サービス業 2560 4244 1420 984

出所:米労働省労働統計局

 

 

 

また、求人数増加と雇用者の伸び鈍化の関係から離職者の職探しへの消極性も垣間みられます。週最大600ドルから400ドルへ減らされたとはいえ、失業給付策は継続されています。より良い条件を求めあえて休職する失業者がいても不思議ではありません。人的リソースの活用が低水準に留まれば、労働市場の改善ペースはさらに鈍るでしょう。その上、米政府の追加財政支援や雇用対策の遅れが再び雇用環境を圧迫するといった負の連鎖も懸念されます。今回はバカンスシーズンと重なり市場はそれなりに悲観的な部分を織り込んでいますが、それを上回るペースで雇用拡大が抑制されるかがポイントで、この不安が現実味を増せばドル安目線が強まるでしょう。

 

 

また、雇用統計以上に目を離せないのが11月米大統領選挙の行方です。トランプ氏の米第一主義に辟易した投資家は、バイデン氏のリードが輝かしくみえるかもしれません。しかし、民主党勝利は新たな脅威を引き起こす懸念があります。それは、財政拡大によるドル信認低下やエリザベス・ウォーレン上院議員の影響力拡大といった問題です。特に、巨大資本や富裕層の既得権益を嫌うウォーレン議員の主張に沿った政策が多数採用されれば、ウォール街は混乱するでしょう。世界的な金利低下バイアスでドル・オセアニア通貨への投資意欲が限定され、コロナ第2波でユーロにも臆病になり、秩序なきEU離脱からポンド買いも見送られる局面で、円独歩高を警戒する時期かもしれません。不安材料が目白押しのなか、円に分がある相場環境と言えそうです。

 

 

図表3.雇用統計の実績と予想

 

非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 実績値 修正値 予想値 実績値 修正値
2020年9月 85.0 66.1 8.2 7.9
2020年8月 140.0 137.1 148.9 9.8 8.4
2020年7月 158.0 176.3 173.4 10.5 10.2
2020年6月 300.0 480.0 479.1 12.5 11.1
2020年5月 ▲800 250.9 269.9 19.8 13.3
2020年4月 ▲2,200.0 ▲2,053.7 ▲2,068.7 16.0 14.7

 

 

平均時給 前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 実績値 実績値
2020年9月 0.2 0.1 61.4
2020年8月 0.0 0.4 61.7
2020年7月 ▲0.5 0.2 61.4
2020年6月 ▲0.5 ▲1.2 61.5
2020年5月 0.9 ▲1.0 60.8
2020年4月 0.4 4.7 60.2

 

 

◆関連の経済データ実績

 

ADP雇用統計(万人)
予想値 実績値 修正値
2020年9月 64.8 74.9
2020年8月 95.0 42.8 48.1
2020年7月 120.0 16.7 21.2
2020年6月 300.0 236.9 431.4
2020年5月 ▲900.0 ▲276.0 306.5
2020年4月 ▲2,100.0 ▲2023.6 ▲1,955.7
出所:Bloomberg、上田ハーローFX「経済指標カレンダー

 

 

 

 

4.今回の戦略

 

【要点】押し目買いはセリングクライマックスを見極めた上で

円高地合いが払しょくされないため、戻り売りが基本スタイルと考えます。100・200日移動平均線の並びから察するに、107.00-50円のレジスタンスは厚めとみています。55日移動平均線や日足一目均衡表・雲の下限が集まる106.00円前後からは戻り売りが出そうです。指標結果を受けて106.00-20円付近へ持ち上げられるようなら、売りを仕掛けたい。

 

 

一方、下値メドも長期支持線(起点;2016年安値98.948円)が推移する101.70円付近へと下げました。ICE Futures U.S.に上場されているドル指数先物のポジショニングで、かなりドルショートが積み上がっており(図表4)反発のエネルギーは相応に蓄積されている感じですが、ファンダメンタルズが希薄なままではドル押し上げ力も持続しないでしょう。今年3月安値(101.156円)からの支持線が通過する104.00円付近を割り込めば、ロングの投げも巻き込みながら101円後半を目指す展開が主流になりそうです。104.00円前半は心理的節目を支えに打診買いもありですが、104.00円割れからは素直に追随売りへ切り替えるべきでしょう。本格的に押し目を拾うなら、セリングクライマックスを十分見極めた上で102円台まで待ちたいです。(完)

 

 

 

 図表4 .ドルインデックス先物のポジショニングと米10年債利回り

出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、Bloomberg

 

 

 

 図表5.ドル円日足チャート

 

出所:上田ハーローFX「UHチャート

 

 

 

 

感想をお聞かせください。

本ページの内容はいかがですか。ぜひ感想をお聞かせください。

 

 

 


 

【今後のアメリカ雇用統計発表予定】
・11月06日(金)22時30分(標準)
・12月04日(金)22時30分(標準)

※日時は日本時間です。

(標準)は米国東部時間での標準時間、(夏)は米国東部時間での夏時間を指します。

 

【バックナンバー】こちら

 

 


※ご注意
本コンテンツのいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。取引開始にあたってはリスク・取引内容などを十分ご確認の上、ご自身の判断にてお取引ください。 外貨保証金取引は元本・収益を保証するものではなく、為替や金利の変動等により損失が生じることがあります。 また、お客様が預託した保証金以上のお取引が可能なため、為替相場や金利の変動等により預託した保証金以上の損失が生じる可能性があります。 当社が提示する為替レートおよびスワップポイントは売値と買値に差額があります。 取引手数料は無料。(ただし現受渡しは10ポイント)、必要保証金は、個人25:取引の額(想定元本)の4%、個人3:取引の額(想定元本)の30%、法人One: 取引の額(想定元本)に金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて毎週算出される為替リスク想定比率を乗じた額です。必要保証金額は一定ではなく為替レートにより変動します。 ポジション形成時のレバレッジは個人25で最大25倍、個人3で最大約3.3倍、法人Oneは上記で毎週算出される為替リスク想定比率に基づいたレバレッジが最大倍率です。

 


上田ハーロー株式会社
〒101-0041  東京都千代田区神田須田町1-1 神田須田町スクエアビル5階
ホームページ: https://www.uedaharlowfx.jp/
TEL:03-5207-8639 / フリーダイヤル:0120-860-396
電話受付時間 平日:9時 – 17時
土曜・祝日:10時 – 15時
金融商品取引業 登録番号:関東財務局長(金商)第249号
加入協会:(社)金融先物取引業協会(会員番号第1505号)